口と全身の健康のつながりが、近年よく話題になっています。
口腔ケアが口の中だけでなく、全身の病気の予防にも
つながることをご存じでしょうか?
虫歯と歯周病は、歯を失う2大危険因子です。
特に歯周病は、“silent disease”とも言われ、
自覚症状の乏しいうちに静かに進行していきます。
気づかないうちに歯周病が進行していたり、
お口の清掃状態がよくない場合、口だけでなく全身へも
マイナスの影響が及んでいる可能性があります。
歯周病菌などのお口の細菌と体の病気は、互いにマイナスの影響を与えます。
●糖尿病
歯周病は、糖尿病の第6番目の合併症です。
糖尿病になると、体の防御反応が低下するため、歯周病にかかるリスクも高く悪化もしやすくなります。そのため血糖コントロールとともに、歯周病のコントロールが大切です。歯周病の治療により、2型糖尿病の血糖コントロールが改善され、HbA1c値が改善されたという報告もされています。
●メタボリックシンドローム
メタボリックシンドロームは、内蔵脂肪型肥満に糖尿病、高血圧、脂質異常症の2つ以上が該当する場合に当てはまるとされています。それら生活習慣病の重なりは、動脈硬化の進行を促進し、脳卒中や心筋梗塞などの心臓病のリスクを高めます。
歯周病は生活習慣病と密接な関わりにあります。歯周病菌は血液にのって全身へ運ばれます。そして運ばれた先のそれぞれの器官で病気を引き起こしたり、引き起こしやすくしたりすることが分かっています。歯周病の予防を行うことは、生活習慣病の予防にもつながります。
●肺炎
現在、日本人の死因の第3位が肺炎です。また肺炎で亡くなる方の90%以上は65歳以上の方々です。
中でも割合が高いのが、飲み込む機能が低下することによって、お口の中の病原菌が唾液や食べ物と共に、誤って肺に入って発症する誤嚥性肺炎です。
口腔ケアによって、お口の中の細菌を減らしておくことは、肺炎の予防にもつながります。
●心疾患
歯周病菌が血液によって運ばれ心臓の内膜に到達すると、死にいたることもある感染性心内膜炎という心臓病を引き起こすことがあります。歯周病は、心筋梗塞や狭心症などの心臓病のリスクを高めるとも言われています。
●早産・低体重児出産
妊娠中は、つわりで歯磨きが難しくなったり、ホルモンバランスの関係で歯肉炎や歯周病が進行しやすいと言われています。歯周病の妊婦さんは、早産や低体重児出産のリスクが高まります。妊娠中の歯周治療は、お母さんのためだけでなく、お腹の赤ちゃんのためにもなるのです。
私たちの身体は、60兆個の細胞からできていると言われています。その細胞の1つ1つが、大切な役割を担っています。身体の器官も同様です。身体の健康は、それぞれの器官が支障なく働いてくれるおかげで維持され、循環しています。
ついつい後回しになりがちなお口の中ですが、特に60才以上の方々から「もっと早くケアしていれば・・・」というお声を頂くのも事実です。まずは口腔ケアから、よりよい身体の循環をはじめてみませんか?