上あごの中には、上顎洞(じょうがくどう)という空洞が存在する。
上あご奥歯にインプラントを埋入する際は、この空洞に突き抜けない様、骨の幅、上顎洞との位置関係をしっかり観察し、手術を行う。
上顎洞までの骨の高さが不足している場合は、インプラントが埋入できるだけの骨の高さを確保するため、上顎洞の底を持ち上げて、スペースメーキングが必要となる。それには、骨の側面から行う上顎洞挙上術(サイナスリフト)と、骨の頂上から行うソケットリフトがあるが、術後の腫れや痛みを考えると、後者の方が、患者さんに優しい手法と言える。
写真1
写真1にある様な、上顎洞底まで、約 5mm 程度の高さが存在する場合は、ソケットリフトで上顎洞を持ち上げ、10mm のインプラントを埋入することは難しくないが、このケースの場合はそうではなかった。
写真2
写真3
写真2、写真3 にあるように、残っている骨の側面に上顎洞がせり出しており、このままインプラントを埋入すると、インプラント体の側面が骨からはみ出してしまう。以前であれば、この様なケースは上顎洞挙上術(サイナスリフト)を選択していたが、現在では、患者さんへの負担が少ないソケットリフトで行う。インプラント側面に接する部分も、ソケットリフトで持ち上げてしまうわけである。
写真4
写真5
写真4、5 はインプラント埋入後の CT 像。インプラント側面にあたる部分も、上顎洞が持ち上げられ、できたスペースに骨補填剤が充填されていることがわかる。
翌日、患者さんにお越しいただきお話を聞くと、「術後の腫れもなく、痛みも手術当日だけでしたよ」とのこと。
これからも、術後の患者さんの苦痛を少しでも軽減できる方法を考え、そして取り組んでいきたい。
自由が丘 歯科/歯医者
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